英語のリスニングってどうやって勉強したらよいんだろう?と悩んでいませんか? 文法やリーディングは学校で学びますが、リスニングに特化した授業はあまり時間を割けられていないかもしれません。
しかし、リスニングも正しく努力して勉強すれば、必ず報われる分野です。
本記事では、「リスニング力を上げたいけどどこから始めていいか分からない」という方に向けて、なぜ聞き取りができないかという原因と対策、学習のコツと勉強法、おすすめのリスニング教材をご紹介します。
英語のリスニングが聞き取れない理由
具体的なリスニング勉強法を解説する前に、なぜ英語が聞き取れないかという原因を探っていきましょう。
聞き取れない理由は、主に次の3つが挙げられます。
語彙と文法の知識が不足している
まず初めに、英語の基礎となる文法や語彙の知識不足が挙げられます。
例えば、日本のニュース番組でも、政治用語やビジネス用語など初めて聞く単語は聞き取れないものですよね。
同様に、英語でも知らない単語やフレーズは聞き取ることができません。
十分な文法力を身につけると、「主語が三人称単数だから、動詞には三単現のSが付くはずだ」というように、リスニングしながら英文内の語をヒントにして、文脈から読み取ることが可能になります。
日常会話レベルのリスニングであれば、中学・高校レベルの英文法で理解が不十分だった文法がないか、今一度見直してみましょう。
その上で、自分が必要とする分野で使われる英単語や文法の知識を身につけていきましょう。
音の変化を理解していない
英語のリスニング力を飛躍的に向上させるには、英語のリエゾンを学ぶ必要があります。
英語には、日本語にはない英語特有の発音や、音がつながったり、音が脱落したりというリエゾン(音声変化)が起こっており、それがリスニングの難易度を上げています。
このような英語の音声変化を理解し、トレーニングを行うことで少しずつ聞き取れる音が増えていくのです。
スピードについていけない
次に多いのが、ネイティブスピーカーが話すスピードが早くてついていけないという理由です。
比較的短い文章であれば理解できるのに、スピーチやニュースなど長くまとまった文章をネイティブスピーカーの自然なスピードで読まれると、途端に理解が追いつかなくなってしまうということはないでしょうか? ある程度の語彙力や文法力があるのに、スピードについていけないという人の場合、英語から日本語に訳す癖がついてしまっているかもしれません。
リスニングはリーディングのように、巻き戻して読み直すという作業ができません。そのため、「英語を英語のまま理解する」スキルをつけていく必要があります。 英語が聞こえてくる順から理解するには、「チャンクリーディング」という方法が有効です。
チャンクリーディングについては、後ほど詳しく解説します。
学習のコツ
英語のリスニング力は、一朝一夕で身につくものではありません。
地道な積み重ねにより、少しずつ聞き取れる量が増えていくものです。
しかし、忙しい毎日の中から勉強時間を捻出するのですから、できるだけ合理的に勉強したいですよね。
ここでは、効率的な学習のコツをご紹介します。
1.目標を決める
まずは、ゴール設定です。 学習の目標として、どのレベルに到達したいのかを決めましょう。
ビジネスレベルまで行きたいのか、または海外映画やドラマを字幕なしでも理解できるようになりたいのか。
それにより選定する教材も変わってくるため、明確なゴール設定が必要です。
2.聞き取れない理由を知る
英語のリスニングが聞き取れない理由には、3つの理由があると解説しましたが、該当するものはありましたか?
3つのうちのどれが自分の弱点となっているのかを分析してから、次にその弱点を補うための勉強を進めていきましょう。
3.学習の進捗を管理する
最初に定めた目標を達成するために、学習の進捗を管理することも有効です。
リスニング力は次のように段階的に伸びていきます。
単語やフレーズが聞き取れる
少し長めのフレーズが聞き取れるようになる
話のポイントや雰囲気が推測できるようになる
話の概要がほとんど理解できるようになる
英語のリスニングはいきなり100%聞き取れるようにはなりませんが、このプロセスも楽しみながら取り組んでいきましょう。
リスニングが上達する勉強法
英語のリスニングを何から、どうやって勉強したらよいのか? と迷う方に向けて、ここからは具体的な勉強方法を5つご紹介します。
聞き読み
聞き読みとは、文字どおり「英語音声を聞きながらスクリプト(原稿)を読む」方法で、英語中級者におすすめの勉強法です。
音声を聞かずに自分のスピードで音読していても、読むスピードはなかなか上がりませんが、音声を聞きながら黙読すると、音声のスピードに合わせて読む練習になります。
はじめは音声のスピードになかなか追いつけないかもしれませんが、戻って読み返したり、音声を止めたりせずに、音声を追いかけるようにして読み進めていきましょう。
聞き読みにより、英語の語順どおりに意味を理解できるようになるため、リスニング力だけでなくリーディング力も向上させたいという方にも役立ちます。
チャンクリーディング
チャンクリーディングとは、英文の文頭から、接続詞や関係代名詞など意味のかたまり(チャンク)ごとに区切って読んでいく方法で、「スラッシュリーディング」とも呼ばれます。
例文を見てみましょう。
- Please call me when you get home.
通常は「家に着いたら、私に電話してください」と訳しますよね。
“When” で区切り、後ろの「when you get home」から読んで、また前に戻り 「Please call me 」という順で読んでいると思います。
チャンクリーディングでは、このような行ったり来たりの訳し方ではなく、次のように「前から後ろへ」文のかたまりごとに訳していきます。
- 「Please call me(私に電話してください)」→「when you get home(家に着いたら)」
リスニングでは、前に戻って聞き直すという作業ができません。
そのため、話される順番で内容を理解していく必要があります。
文章が長く、複雑になるにつれて、チャンクリーディングは効果を発揮します。
ネイティブスピーカーのスピードについていけないという方にとって、チャンクリーディングはおすすめの勉強法です。
シャドーイング
シャドーイング (Shadowing) とは、英語の音声の後を影 (shadow) のように追って真似して言う方法です。
シャドーイングは通訳者養成講座でも取り入れられているほど、英語のリスニング力やスピーキング力強化の効果が高い勉強法です。
はじめはスクリプトを見ずに、音声の概要をリスニングして把握します。
その後、音声を聞きながら、途中で一時停止して自分で発音をします。
発音やイントネーション(抑揚)、リズムにも注意しながらシャドーイングを進めていきましょう。
最後に、スクリプトを見て答え合わせをします。
聞き取れなかった部分を確認して、分からない単語や文法があれば確認しましょう。
初心者の場合、はじめは1~2語ずつ始めて、少しずつ語数を増やしていく方法でもよいでしょう。
シャドーイングは英語の音声変化の知識が不足している方に効果的です。
リスニングのハードルとなる耳から入ってくる音声を正しく知覚し、自分の口や舌を使って再現するというシャドーイングを繰り返すことにより、ネイティブスピーカーが発音する音声と自分が想像している発音のギャップが徐々に小さくなり、音声を正しく聞き取れる量が増えていきます。
オーバーラッピング
オーバーラッピング (overlapping) とは、英語音声に被せるようにして同時に発音することです。
シャドーイングと何が違うの? と疑問を持つ方は多いのではないでしょうか?
前述したように、シャドーイングはスクリプトを見ずに音声の後を、影のように追いかけて発音する方法です。
それに対して、オーバーラッピングはスクリプトを見ながら、音声と同時に発音していく方法です。
シャドーイングはスクリプトなし、オーバーラッピングはスクリプトありで発音するという点が大きな違いです。
オーバーラッピングはシャドーイング同様、英語のリエゾンに慣れていない方に有効な勉強法です。
オーバーラッピングはネイティブの音声に重ねるようにして発音するため、無理にでも音声に合わせる必要があり、英語の正しい発音やリズム、イントネーションを身につけやすくなります。
ディクテーション
ディクテーションも、リスニング力向上に有効な勉強法です。
ディクテーションとは、英語の音声を聞きながら文字で書き取る方法です。
シャドーイングやオーバーラッピングでは英語音声を真似て発音するという方法に対し、ディクテーションでは文字で書き取るという点が異なります。
しかし、ディクテーションも書き取ることができなかった、つまり聞き取れなかった単語や部分を突き止め、弱点を明確化できるという共通点もあります。
ディクテーションは一字一句漏らさずに書き取る方法です。
語彙力や文法力を身につけたい方におすすめで、ディクテーションでは文脈をとらえながら書き取りを行います。
時制の一致や冠詞など、文脈をとらえながら文章を理解する力が付いていくだけでなく、スペリング(綴り)の再確認や細かい文法ミスに気がつく機会が増えるため、ライティングスキルも上達します。
教材の選び方
最後に、リスニング勉強法に活用できる教材の選び方のポイントと、おすすめ教材をご紹介します。
自分のレベルに合うもの
リスニング教材は、簡単すぎず難しすぎないものを選びましょう。
すべて聞き取れるものではなく、ところどころ聞き取れない、やや聞き取りが難しいものを選ぶと学習効果が上がります。
全レベル向けおすすめ学習アプリ:NHKゴガク 語学講座
「NHKゴガク 語学講座」では中・高校生向けからビジネス英語まで幅広いレベル向けのコンテンツが配信されています。
スクリプト全文が掲載されているものもあるので、シャドーイングやディクテーションにも活用できる、リスニングにはうってつけの教材です。
中級者向けおすすめ学習アプリ:Learn American English Podcast
英語中級者におすすめなのが、アメリカ国営放送のVOA (Voice Of America) のアプリです。
ニュースの中でも聞きやすく、スクリプト付きで、再生速度の調整も可能。
記事の長さもほどよく、続けやすいボリュームでリスニング勉強には最適です。
▶Learn American English Podcast (App store)
▶VOA Learning English(Google Play)
上級者向けおすすめ学習アプリ:TED
英語リスニング上級者には、TEDをおすすめします。 TEDとは、世界トップクラスの著名人がプレゼンテーションする世界的講演会です。
プレゼンテーションによっては専門用語や学術用語があり、レベルとしては上級者向けです。
字幕付きのプレゼンテーションもあるため、リスニング教材として活用できるだけでなく、グローバルな視点で新たなアイデアや知識に触れることができます。
▶TED (App store)
▶TED (Google Play)
スクリプトがついているもの
リスニング教材として選ぶ場合には、必ずスクリプト(原稿)が付いているものを選びましょう。
スクリプトがないと答え合わせができず、「理解できたつもり」になってしまうことも。
リスニング上達には、聞き取れなかった部分をひとつひとつ洗い出して、潰していく作業が非常に重要です。
スクリプトが付いていて英語音声のものであれば、数多くの教材が存在します。
- LearnEnglish Podcasts
英国の公的な国際文化交流機関であるブリティッシュ・カウンシルが提供するアプリ「LearnEnglish Podcasts」はスクリプト付きで、リスニングにぴったりな教材です。
各エピソードには理解度確認問題が付いているので、理解度をチェックしながら勉強を進めることができます。
- CNN10
「CNN10」は言わずと知れたアメリカのニュース専門局CNN (Cable News Network) の全世界向けニュース番組です。
約10分ほどのニュース番組が配信されており、英語字幕で視聴することができ、良質なリスニング教材と言えるでしょう。
趣味や興味に合うもの
ご紹介したように、英語のリスニングにはわざわざ教材を買わずとも、インターネット上には教材となるコンテンツが溢れています。
しかし、どうせなら楽しく勉強したいですよね。
そんな方は、英語の洋楽や映画をリスニング教材として活用しましょう。洋楽や映画は、背伸びせずに取り入れられるよいリスニング教材です。
今まで娯楽目的で聴いたり、観たりしていた音楽や映画も、しっかり聞き取ろうとすると一字一句聞き取るのは至難の業です。
一部分だけを切り取って、シャドーイングやディクテーションに取り入れてみましょう。
まとめ
リスニングと一口に言っても、文法力や語彙力、発音の知識などが土台となってリスニング力向上につながっていることが分かりますね。
リスニング力に伸び悩んでいる方は、一度リセットするつもりで、正しい勉強法で新たにスタートを切ってみてはいかがでしょうか?
今回ご紹介した勉強法は、一朝一夕には上達を感じられないかもしれませんが、一歩一歩英語耳は進化していきます。 ぜひ真剣に取り組んでみてください。
参考資料:妻鳥 千鶴子(2019)『日常会話から洋画まで全て聞き取れるようになる!英語リスニング 超入門』Jリサーチ出版
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