英語のリスニングが苦手な理由は?

リスニングが苦手な原因の多くは、下の3つに大別されます。

  • そもそも、その単語や文法、表現を知らない
  • 知っている単語や表現であっても、聴き取れない
  • 聴き取れたとしても、話すスピードに理解するスピードが追い付いていない

この中で多くの日本人が悩むのが、後半の2つです。なぜなら、

  • 聴き取れない:日本独自のJapanese Englishが仇となり、正しい発音で単語を覚えていない。
  • 理解スピードが追い付かない:受験英語に多い「和訳=返り読み」の癖があり、英語の理解に時間がかかる。

という状態になってしまっているのです。

裏を返せば、この2つを解決できれば英語のリスニング力は向上します。

しかしリスニング練習というと、とにかく聞いた内容を日本語訳に変換することに一生懸命になっている方がいます。だから英語のあとに日本語が入っているCDなんかをひたすら聴いてしまいがちですが、それでは上達効果は微々たるもの。

そのCDの日本語訳を覚えることにはなっても、音を聴き取るための練習や、意味を即座に理解するための練習にはなっていないからです。

リスニングの練習のコツは、その練習が英語としての音を聴き取る練習になっているか、和訳せずに英語の意味を頭にイメージする練習になっているか、を意識することです。

音を聞き取る→意味を理解する

実際の練習ステップを紹介する前に、音を聴き取ることと意味を理解することについて、もう少し詳しく知っていただきたいと思います。

音を聞き取る

音を聞き取るというのは、音を聞いて文字がイメージできる状態です。例えばアポーと聴いてAppleだと分かるということですね。

英語では、特に文章になるとリンキングなどの「音声変化」が多く起こります。例を挙げると Nice to meet you. では最後が「ミートゥ ユー」ではなく「ミーチュー」になりますよね。この音声変化のルールを理解するだけでも、音を聞き取る力は各段にアップします。

意味を理解する

意味を理解するというのは、音を聴いて瞬時に意味がイメージできる状態です。例えばアポーと聴いて、赤くて丸いフルーツが頭の中にイメージできるということです。

決して「アポー⇒りんご⇒赤くて丸いフルーツ」と日本語を介して意味を理解することではないことに注意してください。

リスニングを上達させる7ステップ

それでは、効果的にリスニング力を身につける、すなわち「音」を聴き取り、「意味」が理解できるようになるための7つの練習ステップを紹介します。

この練習法では、実際の会話と同じく大枠の理解を重要視しながらも、自分ができていないところを明確にして改善していくので、効率的なリスニング力アップが期待できます。

また教材の選び方も紹介しているので、初心者でも、既にある程度できる方でも、確実に次のレベルにステップアップできます。

ではさっそく、実際の学習の進め方と各ステップのポイントを紹介します。

1.リスニング素材を用意する

文字で読んでみて、ある程度分かるレベルのリスニング素材を用意します。音声スピードは、ナチュラルイングリッシュのものが望ましいです。

おすすめは、自分にとって興味がある分野のネイティブスピーカーによるオーディオブックや動画、またTOEIC®の公式問題集などです。

注意点として、英語のあとに日本語が入っている教材は選ばないこと 。日本語を介さず意味を理解するための練習にならなくなってしまいます。

2.背景を理解する

実際の会話でも、全く背景知識がないことを聞く機会ってあまりないですよね。

その日やるページが何をテーマにしているのか、テキストの絵やタイトルから想像しておきましょう。ただし本文はまだ見てはダメです。

3.リスニング-意味理解

音声を流します。細かいことは気にせず、何について話しているか大枠を理解するよう努めましょう。

さらにそれを3~5回程度行い、少しずつ細かい情報にも耳を傾けましょう。

4.リスニング-音理解

まだまだ意味を知らない単語や音が繋がっていて何の単語か判断できない部分があると思います。

それらの音を聞き取るつもりで、リスニングを10回ほど繰り返します。これ以上聞いても分からないだろうと思うまで、音声を流しましょう。

ここで聞こえた音を書き取る「ディクテーション」をやってみます。後でテキストを確認する際、どんな音が聞き取れていないのかが明確になります。

5.テキストチェック-意味確認

ここで初めてテキストを読んで、リスニングで想定した内容(意味)とのギャップをチェックします。ディクテーションでメモをしていると、聞き取れていた部分とそうでない部分が明確になりますね。

また知らなかった単語は意味を調べておきましょう。

6.テキストチェック-音確認

テキストを見ながら、再度音声を流します。ここで聞き取れていなかった文字と音を、完全に一致させてください。

このステップ、省略する方が多いですが、一番重要なステップと言っても過言ではありません。

Did you ~ が「ディヂュ」になるなど、知っている単語でも組み合わさったときの発音が全く異なるという点に気づいてください。音声変化の理解がいかに大事か分かると思います。

7.仕上げの音読

仕上げは音読です。これまでのステップで耳で聞いた音と頭でイメージした意味を、落とし込むステップです。

まずは音声と一緒に5回音読、次に音声なしで10回程度音読してください。

ここでのポイントは、1.意味をイメージしながらよむこと 2.正しい発音(単語だけでなく文章全体の流れや音声変化を含めて)取り込むことです。

会話主体の素材であれば、あたかも相手に話しかけるように、ニュースや物語系のものであれば、読み聞かせるイメージでやってみてください。

まずは1ヶ月、実践しよう

すぐにリスニング力をアップさせたり、聞き流すだけで楽にリスニング力をアップさせたりできる魔法はありません。でも効率的なリスニングの練習方法は存在します。

それは音を聞き取る(文字に起こせる)→意味を理解する(日本語無しに頭にイメージする)を意識しながら、上で紹介した学習法を繰り返すことです。

まずは1ヵ月間、ご自身のレベルと興味に合わせた教材で実践してみてください。

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