4.1 信頼を勝ち取る
ここからはもう少し身近な話題をベースに話をします。
ここまで話したリベラルアーツは、ゴルフコースに似ています。
また、論理的思考はゴルフのスウィングに似ています。
ゴルフのプレイスタイルは十人十色
取引先や同僚とゴルフに出かけることはありますか?
そこで、「同じスポーツなのにプレイスタイルは十人十色だな」と思ったことはありませんか?
どのようなスポーツであれ、他の人のプレイを見て学ぶことや感心することがあるはずです。
AさんはAさんのプレイスタイルで最終ホールに辿りつきます。
BさんはBさんのプレイスタイルで最終ホールを迎えます。
つまり、プレイスタイルに正解はないのです。
最終ホールに辿りつけるだけの力量があれば、どのプレイスタイルも正しいのです。
AさんはBさんの豪快なスウィングを見て感心し、BさんはAさんの繊細なパットを見て学習します。
リベラルアーツは思考の軸を披露する場
リベラルアーツは論理的思考の軸を鍛える題材であると共に、自分の思考の軸を披露する恰好の題材でもあるのです。
たとえば外国人との会食の席などで、
「あなたは日本人として、原発をどう思いますか?」
「あなたは日本人として、クジラ漁についてどう思いますか?」
と、リベラルアーツでいう社会学や物理学、自然科学に関連することを聞かれたとしましょう。
普段から意識して考えることではないにせよ、その場で論理的に、他者が「なるほど」と思う考えが示すことができますか?
しっかりとした思考の軸を披露できれば信頼を勝ち取れる
ここで「あまり考えたことはありませんね。」とだけ答えてしまうと、その場でその話題は終了し、同時にその外国人に興味を持ってもらうチャンスを失います。
ビジネスの外での信頼関係を築くきっかけを、みすみす逃すことになるのです。
この外国人は自分と同じ意見を持つ気の合う人物を探しているのではなく、あなたという人間がどのような思考の軸を持っているのか興味があって質問しているのです。
正しい答えなどないのですから、自分の思考の軸を披露すればいいのです。
ゴルフで練習の成果を見せるように、思考の軸を披露する
ゴルフに置き換えてみましょう。
ゴルフでいう「あなたは日本人として、原発をどう思いますか?」という質問は、バンカーからのショットのようなものです。
「あなたは日本人として、クジラ漁をどう思いますか?」は30メートルのロングパットのようなものです。
これらの難しいショットをみごと決めることができれば、相手は思わず「なるほど」と感嘆の声を漏らすことでしょう。
日頃のゴルフスウィングの練習が窮地を乗り越えさせてくれるように、日頃の論理的思考の鍛錬がものをいうのです。
リベラルアーツはゴルフコースのように、鍛錬の成果を鍛えるだけでなく、披露する場でもあるのです。